多くの医療機関で算定されている「データ提出加算」。
このデータ提出加算には1と2があることがご存知でしょうか?
そもそもデータ提出加算とはどういうものかも知らない方も多いのではないでしょうか?
この記事ではこのような悩みにお答えするために下記の内容を紹介します。
- データ提出加算とはどういう加算か?
- なぜこの加算が重要視されているか
- データ提出加算1と2の違いは何か?
私は医療事務のシステムメーカーでデータ提出をサポートするシステムの開発・コンサル業務に従事し、お客様の対応をしてきているので、医療機関や各メーカーがよく抱えている悩みを中心にこの記事では紹介していきます。
※この記事は2020年診療報酬改定をもとに作成しています。
目次
データ提出加算でおさえておきたい3つのポイント
まずデータ提出加算とはそもそもどういう加算か?についてです。
ここではデータ提出加算の基本的な内容を知るうえで、
- データ提出加算とはどんな加算?
- データ提出加算加算の分類と点数
- データ提出加算の重要性
この3つにポイントをおさえて紹介していきます。
データ提出加算の記事から抜粋して紹介していきます。
ポイント1「データ提出加算とはなにか?」
データ提出加算は入院加算の一つで、DPCデータを正確に作成し継続して提出されることを評価したものです。
簡単に言えば、入院患者に関するデータをルールに基づいて作成し、期限までに提出すれば入院加算を算定できますよというものです。
原則入院中1回に限り、入院時に加算点数を算定することができます。
また、2020年度の診療報酬改定以降、特定の入院料を算定している場合、90日に1回算定することができるようになりました。
ポイント2「データ提出加算の分類と点数」
データ提出加算は「データ提出加算1」「データ提出加算2」「データ提出加算3」「データ提出加算4」に分かれています。
それぞれの項目に点数が設定されていて、下記の点数が設定されています。
データ提出加算1(入院初日)
イ 許可病床数が200以上の場合 140点
ロ 許可病床数が200未満の場合 210点
データ提出加算2(入院初日)
イ 許可病床数が200以上の場合 150点
ロ 許可病床数が200未満の場合 220点
データ提出加算3(入院期間が90日を超えるごとに1回)
イ 許可病床数が200以上の場合 140点
ロ 許可病床数が200未満の場合 210点
データ提出加算4(入院期間が90日を超えるごとに1回)
イ 許可病床数が200以上の場合 150点
ロ 許可病床数が200未満の場合 220点
提出データ評価加算 40点
後述しますが、データ提出加算1と2のでは違いがあり、データ提出加算2の算定条件が厳しいため点数が高くなっています。
ポイント3「データ提出加算の重要性」
なぜこのデータ提出加算が重要視されるのか?
なぜDPCデータを作成する作業を行ってまで、このデータ提出加算を算定するのか?
そういった疑問を持たれる方は多いと思います。
結論としては算定することで点数がとれるのはもちろんありますが、他の入院料の算定に必要となるからです。
ここ数年でデータ提出をしていることが様々な入院料算定の条件になってきているため、年々このデータ提出加算は重要性は上がってきています。
データ提出加算2の知っておきたいポイントについて
前章ではデータ提出加算とは?について紹介してきました。
この章ではそのなかでもデータ提出加算2についてより踏み込んで紹介ということで、
- データ提出加算1と2の違い
- データ提出加算2の施設基準
- 提出データの外来データとは?
この3点を取り上げます。
データ提出加算1と2の違い
ここからはデータ提出加算2について紹介していきます。
データ提出加算1と2は基本的な考え方はほとんど同じです。
違いをあげていくとすると、1.2データ提出加算の点数で記載しましたが、点数が違うことが一つです。
また、算定要件でデータ提出加算1同様DPCデータの提出を求められますが、そのなかで外来EFファイルというものが追加で提出が必要になります。
データ提出加算3,4の違いについても1,2同様でデータ提出加算4は外来EFファイルの提出が必要になります。
これらをこの後一つずつ紹介していきます。
データ提出加算2の施設基準
詳細は細かい部分もあるので告示3 基本診療料の施設基準等を読んでいただきたいのですが、データ提出加算2を算定するのに必要なポイントは大きく二つです。
- A207診療録管理体制加算を算定している
- DPCデータを提出できる体制が整っている
大きく違うのは2点目のDPCデータ提出のEF外来データを求められることです。
申請の流れ等もデータ提出加算1と同じ流れですので、DPCデータでEF外来ファイルも提出することができる場合はデータ提出加算2を算定することができます。
ここで注意したいのはデータ提出加算2の届け出をしてしまうと、データ提出加算1に戻せないことです。
データ提出加算1を届け出ていて、あとからデータ提出加算2に切り替えることは可能ですが、その逆はできないので注意してください。
提出データの外来データとは?
先ほどから何回からでている外来EFファイルについてです。
データ提出加算1では下記のDPCファイルの提出が必要とお話ししました。
- 様式1(入退院情報、病名情報等)
- 様式3(施設情報)
- 様式4(保険情報)
- 入院EFファイル(入院における診療報酬算定情報)
- Hファイル(日ごとの患者状態)
- Kファイル(共通IDに関する情報)
データ提出加算2ではこれらに加えて
- 外来EFファイル(外来患者における診療報酬算定情報)
が必要になります。
ファイルの形式は入院EFファイルとほとんど同じで、入院EFは入院患者の診療報酬算定情報に対して、外来EFファイルは外来患者の診療報酬算定情報になります。
データ提出加算2では入院データに加えて、外来データも提出するというイメージになります。
DPCデータについてもっと詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ:データ提出加算2のポイント
データ提出加算とは?というところから、データ提出加算2について紹介しました。
データ提出加算2は1との違いがあるものの「データ提出加算」の大きなくくりのひとつですので、多くの入院料の算定に必要となる重要な入院加算です。
最後に全体を通してのまとめです。
- 基本的な考え方はデータ提出加算1と同じ
- 提出データに外来データとして外来EFファイルが追加で必要
今回紹介したデータ提出加算2は提出データ評価加算にも関わる加算でもあるので、提出データ評価加算が気になる方はこちらの記事をご確認ください。
また2020年度診療報酬改定で追加になったデータ提出加算3,4が気になる方はこちらをどうぞ。
参考資料
告示3 基本診療料の施設基準等
保医発0305第2号 基本診療料の施設基準等及びその届け出に関する手続きの取り扱いについて
令和2年度データ提出加算に係る説明資料
診療点数早見表 2020年4月版