DPC調査のHファイルとは?Hファイル作成のポイント

DPC調査の提出ファイルの一つである「Hファイル」。

様式1同様Hファイルも構造が複雑なため、入力に苦労されている医療機関も少なくないのではないでしょうか?

また、Hファイルをこれからはじめて作るという方には仕様が複雑で全然わからないという方も多いのではないでしょうか?  

 

ここではそんな疑問にお答えするべく、この記事ではHファイルの特徴を紹介していきます。

著者は入院医療に関する事務のシステム開発に携わり、Hファイルの入力部分や重症度、医療・看護必要度に関わるシステムにも携わっているので、勉強した際に苦労した点を重点的に紹介していきます。

この記事は2018年診療報酬改定及び2019年時点の制度をもとに作成しています。

1.DPC調査について(おさらい)

Hファイルを提出するDPC調査について、DPC調査でのHファイルの位置づけを改めてこの章では確認していきます。

1.1 DPC調査とはなにか?

DPC/PDPSでは診断群分類ごとに包括点数が設定されています。

この分類や点数を決めるために行われているのがDPC調査です。

各医療機関で作成されているDPCデータはこの診断群分類や包括点数を決めるために収集されています。

多くの種類のデータを集めているので、診断群分類や点数以外にも日本の今後の医療方針を決めるために様々な分析にも使用されているみたいです。

下記の記事でDPC制度や調査について、まとめているので詳しく知りたい方は参考にしてください。

DPC制度・DPC調査とはなにか? | DPC制度・調査の概要とポイントについて

1.2 DPC調査に参加する医療機関はどこか?

このDPC調査に参加する医療機関は大きく2つに分類されます。

  • DPC制度に参加しているDPC病院、DPC準備病院
  • データ提出加算を算定する医療機関

 

まず、DPC制度に参加しているDPC病院は包括支払い請求をしている病院です。

そのため一番DPCに関係している医療機関とも言えます。

DPC準備病院はDPC病院となるために、データを正しく提出することができるが確認している病院です。

現状ではこのDPC準備病院に参加の届け出を行い、提出内容が認められてDPC病院になることができます。  

続いてデータ提出加算を算定する医療機関です。

こちらは入院加算のため、DPC病院、準備病院、出来高病院問わず届け出ができ、届け出ている病院はDPCデータの提出が必要になります。

データ提出加算については別記事でまとめていますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

A245データ提出加算とは何か?施設基準や算定までのポイントについて

1.3 DPC調査で提出するファイル

DPC調査で医療機関ごとに作成するデータは下記になります。

  • 様式1(入退院情報、病名情報等)
  • 様式3(施設情報)
  • 様式4(保険情報)
  • 入院EFファイル(入院における診療報酬算定情報)
  • 外来EFファイル(外来における診療報酬算定情報)
  • Dファイル(包括診療明細情報)
  • Hファイル(日ごとの患者状態)

 

今回紹介するHファイルは日ごとの患者状態として重症度、医療・看護必要度を入力します。

次章以降で重症度、医療・看護必要度とあわせて紹介していきます。 Hファイル以外の各ファイルの概要を知りたい方は下記もあわせてご確認ください。 

DPC調査で提出するデータについて|各ファイルの特徴を紹介

2.Hファイルの知っておきたい5つの特徴

ここからはHファイルについて詳しく見ていきます。

この章ではHファイルを作成するうえで知っておきたいHファイルの特徴を紹介します。

Hファイルの特徴は

  • 重症度、医療・看護必要の入力と評価表
  • データ構造「ペイロード」
  • Hファイルの提出範囲
  • TARコード

の4つが特徴的です。

これらについて一つずつ紹介してきます。

2.1 重症度、医療・看護必要度の入力と評価表

Hファイルの入力項目は日々の重症度、医療・看護必要度となっています。

そのため重症度、医療・看護必要度の理解が必要になってきます。

重症度、医療・看護必要度はどの程度看護を提供しているか、また看護のかかり具合がこの病院ではどの程度あるのかを測定するのがこの指標です。

重症度、医療・看護必要度について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

重症度、医療看護必要度とは?重症度、医療・看護必要度の評価や評価表のポイント

2.2 Hファイルのデータ構造「ペイロード」

つぎはHファイルのデータ構造です。

こういうデータですと1行ごとに1入院のデータというイメージがありますが、Hファイルは違います。

複数行のデータで1日当たりのデータを表現しています。

その複数行のデータが入院期間分の者が集まって1入院当たりのデータとなります。

各行で記載しているデータを表すペイロード種別のコードが設定されており、評価表の種類やHファイルの判定対象の情報を入力します。

例えば一般病棟用のA項目の評価を記入するデータではASS0010、一般病棟用のC項目の評価を入力するデータではASS0030を設定します。

様式1の仕組みと同じのため、様式1の入力に慣れている方はとっつきやすいと思います。

2.3 Hファイルの提出範囲

Hファイルはすべての入院患者に対して作成する必要はなく、決められた条件に合致する患者に対してファイルを作成します。

Hファイルは重症度、医療・看護必要度の入力を行うため、重症度、医療・看護必要度の評価が必要な患者になります。

作成する対象の入院料は下記になります。

  • 一般病棟入院基本料(急性期一般入院基本料のみ)
  • 7対1特定機能病院入院基本料(一般病棟のみ)
  • 10対1特定機能病院入院基本料(一般病棟のみ)
  • 7対1専門病院入院基本料
  • 10対1専門病院入院基本料
  • 救命救急入院料
  • 特定集中治療室管理料
  • ハイケアユニット入院医療管理料
  • 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
  • 地域包括ケア病棟入院料(医療管理料も含む)

 

重症度、医療・看護必要度に詳しい方はお分かりかもしれませんが、評価をしなければいけない入院料や加算がすべてあるわけではありません。

評価をしている患者さんがHファイルの出力対象か確認して、データを作成しましょう。

2.4 TARコード

2.2章でHファイルのデータ構造はペイロード構造であることを紹介しました。

そのペイロードのなかでTARコードというものがあります。

このコードはほかの評価表のコードとは少し入力内容が違います。

TARコードはHファイル作成対象の患者に対して1日ごとに作成するデータになり、その日が評価対象かどうかを入力します。

ペイロード種別コードはTAR0010になり、入力する内容は下記になります。

  • 0: 重症度、医療・看護必要度判定対象
  • 1: 短期滞在手術等基本料算定症例
  • 2: 年齢が 15 歳未満
  • 3: 産科の患者
  • 4: 外泊日(0 時から 24時の間の外泊)
  • 5: 退院日(入院した日に退院した場合は除く)

入力対象の場合は0を入力し、それ以外は入力対象外となり、対象外理由のものを入力します。

 

参考文献

■平成30年度診療報酬改定

厚生労働省:平成30年度診療報酬改定の概要 医科Ⅰ  

■調査実施説明資料

厚生労働省:「DPC導入の影響評価に係る調査」実施説明資料

3.Hファイルの入力項目にはどんなものがあるか?

この章ではHファイルで入力する項目を大きな分類ごとに紹介します。

Hファイルはペイロード単位でそれぞれ入力しますが、大きく下記の4つに分類されると考えています。

  • 評価対象の判定(TARコード)
  • 一般病棟用の評価
  • 特定集中治療室用の評価
  • ハイケアユニット用の評価

こちらについて一つずつどういった情報を入力するか簡単に紹介していきます。

3.1 評価対象の判定(TARコード)

2.4章でも紹介したTARコードについてです。

その日の評価項目の入力は評価表や評価対象かで変わってきますが、この評価対象の判定はHファイル作成対象の患者であれば必ず毎日入力します。

入院中のある日が判定対象であれば、このTARコードのデータと後述する評価表を入力したデータを入力します。

一方で入院中のある日が判定対象外であれば、このTARコードのデータのみ入力されます。

3.2 一般病棟用の評価

一般病棟の重症度、医療・看護必要度の評価表を使用する入院料はこの項目を入力します。

具体的には

  • 一般病棟入院基本料(急性期一般入院基本料のみ)
  • 7 対 1 特定機能病院入院基本料(一般病棟のみ)
  • 10 対 1 特定機能病院入院基本料(一般病棟のみ)
  • 7 対 1 専門病院入院基本料
  • 10 対 1 専門病院入院基本料
  • 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
  • 地域包括ケア病棟入院料(医療管理料も含む)

になります。

A、B、C項目それぞれペイロード種別のコードが設定されており、それぞれに各項目の評価を入力します。

A項目のコードはASS0010、B項目はASS0020、C項目はASS0030のレコードを入力します。

例えば一般病棟入院基本料を算定している病棟に4/1~4/3の間に入院して、4/1に評価を行った場合は、4/1だけでASS0010、ASS0020、ASS0030のデータを用意します(これらにプラスしてTARのデータ)。

一例でA項目の評価表を掲載します。

 

ASS0010を入力した行では、A項目の評価を順番に入力していきます。

例えば2019/4/1に呼吸ケアと点滴ライン同時3本以上の管理がありで他はなしの場合は下記のような入力を行います。

(施設コードやデータ識別番号は例として適当な値を入れています)

このように他の項目、他の日付を入力していきます。

 

また、この一般病棟用の評価ですが、重症度、医療・看護必要度にはⅠとⅡがあります。

もしⅡを算定している場合は、A項目とC項目のデータの作成は不要になり、B項目のみデータを作る形になります。

3.3特定集中治療室用の評価

特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の評価表を使用する入院料はこの項目を入力します。

具体的には

  • 救命救急入院料
  • 特定集中治療室管理料を届け出ている治療室に入室している患者

になります。

特定集中治療室用の評価ではA項目はASS0040、B項目はASS0050となります。

一般病棟の評価とペイロード種別のコードや入力項目は異なるので注意しましょう。

3.4 ハイケアユニット用の評価

ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度の評価表を使用する入院料はこの項目を入力します。

具体的にはハイケアユニット入院医療管理料を届け出ている治療室に入室している患者になります。

ハイケアユニット用の評価ではA項目はASS0060、B項目はASS0070となります。

こちらについても一般病棟、特定集中治療室用の評価とペイロード種別のコードや入力項目は異なるので注意しましょう。

参考文献

■調査実施説明資料

厚生労働省:「DPC導入の影響評価に係る調査」実施説明資料

まとめ:Hファイルの特徴

DPC調査のHファイルを作成するうえで特徴となるところを紹介しました。

Hファイルは重症度、医療・看護必要度と係りが深いもののため、重症度、医療・看護必要度とあわせて理解したい内容です。

最後にこの記事のポイントを振り返ってみます。

ポイント
  • Hファイルは日ごとの患者状態として重症度、医療・看護必要度を入力
  • Hファイルのデータ構造は様式1同様「ペイロード構造」である
  • 評価表は「一般病棟用」「特定集中治療室用」「ハイケアユニット用」がある