2020年2月7日に診療報酬改定の答申が行われ、診療報酬改定が近づいてまいりました。
そこで当ブログでも扱っている重症度、医療・看護必要度について、変更点をまとめていきたいと思います。
具体的な内容は発表されていませんが、順次更新していくのでよろしくお願いします。
- 評価表の変更
- 評価基準の変更
- 各入院料での該当患者割合の変更
※下記は2020年2月7日の答申を基に作成していますため、変更になることがございますのでご注意ください。具体的な内容が発表され次第記事に反映していきます。
答申について簡単にまとめた記事はこちらをご覧ください。
https://medical-information-room.com/2020%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e8%a8%ba%e7%99%82%e5%a0%b1%e9%85%ac%e6%94%b9%e5%ae%9a%e6%a1%88%e3%82%92%e7%ad%94%e7%94%b3/
重症度、医療・看護必要度とはどういったものか?について知りたい方はこちらをご覧ください。
https://medical-information-room.com/barometer_barometer_nursing_begining/
1.評価項目の変更
実際に評価する項目について、A~C項目それぞれで見直しが入っているので見ていきたいと思います。
1.1 A項目の変更点
A項目については大きく3つの変更点があります。
まずは救急搬送後の入院について2点あります。
評価期間がこれまで2日だったものから5日に変更されました。
また、重症度、医療・看護必要度Ⅱにおいて、救急医療管理加算1、2または夜間休日救急搬送医学管理料を算定する患者に対して、入院後5日間を評価の対象になりました。
重症度、医療・看護必要度Ⅱでは救急搬送後の入院の項目がこれまでなかっため、今回の改定で項目が増えた形になります。
専門的な治療・処置でも変更があり、「免疫抑制剤の管理」が注射剤のみが評価の対象となりました。
1.2 B項目の変更点
B項目は、ADL項目について患者の状態と介助の実施を分けて評価することになりました。

上記の画像は第441回中央社会保険医療協議会総会での資料からになります。
この評価の分離によって、評価の際に根拠となる資料の保存が不要となりました。
業務負担軽減の観点からの改定になります。
また、この変更は特定集中治療室用の評価表、ハイケアユニット用の評価表のB項目についても適用されます。
1.3 C項目の変更点
C項目については評価期間の見直しが行われました。
変更の一覧は下記になります。
評価項目 | 現行 | 改定案 |
開頭手術 | 7日 | 13日 |
開胸手術 | 7日 | 12日 |
開腹手術 | 4日 | 7日 |
骨の手術 | 5日 | 11日 |
胸腔鏡・腹腔鏡手術 | 3日 | 5日 |
全身麻酔・脊椎麻酔の手術 | 2日 | 5日 |
救命等に係る内科的治療 | 2日 | 5日 |
すべての項目で大きく値がかわっています。
また、入院で9割以上実施する検査と手術が新しく項目として追加になりました。
- 別に定める検査(2日間)
- 別に定める手術(6日間)
どの検査・手術が該当するかは後ほど指定されるとのことです。
さらにこのC項目は重症度、医療・看護必要度Ⅰにおいてもレセプト電算用システムコードをもとに評価することがあげらています。
2.基準の変更
該当患者を判定する基準が変更になりました。 これまで一般病棟の基準は下記でした。
- A得点が2点以上かつB得点が3点以上の患者
- B14またはB15に該当してA得点が1点以上かつB得点が3点以上の患者
- A得点が3点以上の患者
- C得点が1点以上の患者
この基準の2つめが削除され、下記の形になりました。
- A得点が2点以上かつB得点が3点以上の患者
B14またはB15に該当してA得点が1点以上かつB得点が3点以上の患者- A得点が3点以上の患者
- C得点が1点以上の患者
3.該当患者割合の変更
各入院料での重症度、医療・看護必要度の該当患者割合がⅡの分析、基準の見直しや機能分化の推進のために変更になりました。
現行 | 改定案 | |||
Ⅰの割合 | Ⅱの割合 | Ⅰの割合 | Ⅱの割合 | |
急性期一般入院料1 | 30% | 25% | 31% | 29% |
急性期一般入院料2 | – | 24% | 28% | 26% |
急性期一般入院料3 | – | 23% | 25% | 23% |
急性期一般入院料4 | 27% | 22% | 22% | 20% |
急性期一般入院料5 | 21% | 17% | 20% | 18% |
急性期一般入院料6 | 15% | 12% | 18% | 15% |
7:1入院基本料(特定) | 28% | 23% | – | 28% |
7:1入院基本料(専門) | 28% | 23% | 30% | 28% |
7:1入院基本料(結核病棟) | 11% | 9% | 11% | 9% |
看護必要度加算1 | 27% | 22% | 22% | 20% |
看護必要度加算2 | 21% | 17% | 20% | 18% |
看護必要度加算3 | 15% | 12% | 18% | 15% |
総合入院体制加算1 | 35% | 30% | 35% | 33% |
総合入院体制加算2 | 35% | 30% | 35% | 33% |
総合入院体制加算3 | 32% | 27% | 32% | 30% |
急性期看護補助体制加算 | 7% | 6% | 7% | 6% |
看護職員夜間配置加算 | 7% | 6% | 7% | 6% |
看護補助加算1 | 6% | 5% | 6% | 5% |
地域包括ケア病棟入院料 | 10% | 8% | 14% | 11% |
特定一般病棟入院料 注7 | 10% | 8% | 14% | 11% |
急性期一般入院料1について、Ⅰで31%、Ⅱで29%と基準の見直しがあったなかでの、この設定のため厳しい数値になったという声があがっています。
また、全体的に重症度、医療・看護必要度Ⅱの値があがっていることがわかります。
これらの改定にはそれぞれの入院料で経過措置が設定される見込みです。
詳細は今後の通知等をご確認ください。
4.重症度、医療・看護必要度Ⅱの取り扱いの変更
重症度、医療・看護必要度Ⅱの推進で取り扱いが一部変更になっています。
急性期一般入院料1~6、特定機能病院入院基本料(一般病棟7:1)の400床以上について、重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いることが施設基準で要件化されました。
測定に関わる負担を軽減するために、今後も重症度、医療・看護必要度Ⅱでの測定が要件化が拡大していくことが予想されます。
まとめ
2020年度の診療報酬改定の重症度、医療・看護必要度の変更点について紹介しました。
変更点が多く、現場では様々な対応が必要になってくると思います。
経過措置も設定される見込みですので、いつまでにどの対応をしなければいけないかをしっかり抑えておきたいところです。
最後にこの記事のまとめになります。
- B項目は患者の状態と介助の実施を分けて評価
- C項目に新しい項目として2項目追加
- B14またはB15に該当してA得点が1点以上かつB得点が3点以上の患者の判定基準が削除
- 各入院料での該当患者割合が大きく変更