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医師事務作業補助体制加算とは?医師事務作業補助者の業務とは?

働き方改革、医師のタスクシフトが進む中、注目されているのが「医師事務作業補助体制加算」。

医師の働き方改革ということで、「医師事務作業補助体制加算」に興味を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

また、この加算で配置する医師事務作業補助者とはどういう人を配置すればいいのか?と疑問を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。  

 

これらの疑問にお答えすべく、ここではこれらの内容を紹介していきます。

記事の内容
  • 医師事務作業補助体制加算とはどういう加算か?
  • 医師事務作業補助者はなにができるか?

 

※この記事は2020年診療報酬改定をもとに作成しています。

1.医師事務作業補助体制加算

まず、医療事務作業補助体制加算とはどういう加算かについて紹介していきます。

1.1 医師事務作業補助体制加算とは?

医師事務作業補助体制加算は、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に対する体制を 確保することを目的として、医師、医療関係職員、事務職員等との間での業務の役割分担 を推進し、医師の事務作業を補助する専従者(以下「医師事務作業補助者」という。)を 配置している体制を評価するものと定義されています。

簡単に言えば、医師の仕事の負担を抑えるために、医師の仕事を一部担当する人を配置していることを評価したものです。

高齢者の増加、医療の高度化などにより医師の仕事は年々複雑化・増加しています。

その負担を軽減するにあたって、注目されている加算の一つです。

1.2 医師事務作業補助体制加算の点数

医師事務作業補助体制加算は「医師事務作業補助体制加算1」と「医師事務作業補助体制加算2」の二つに分かれています。

その中で病床数に対する医師事務作業補助者の配置割合によって細かく点数が設定されています。

1 医師事務作業補助体制加算1
イ 15対1補助体制加算 970点
ロ 20対1補助体制加算 758点
ハ 25対1補助体制加算 630点
二 30対1補助体制加算 545点
ホ 40対1補助体制加算 455点
へ 50対1補助体制加算 375点
ト 75対1補助体制加算 295点
チ 100対1補助体制加算 248点

2 医師事務作業補助体制加算2
イ 15対1補助体制加算 910点
ロ 20対1補助体制加算 710点
ハ 25対1補助体制加算 590点
二 30対1補助体制加算 510点
ホ 40対1補助体制加算 430点
へ 50対1補助体制加算 355点
ト 75対1補助体制加算 280点
チ 100対1補助体制加算 238点

各加算で施設基準が異なってくるので、算定する加算の施設基準はしっかりと抑えておきましょう。

参考文献

■令和2年度診療報酬改定

厚生労働省:令和2年度診療報酬改定の概要(働き方改革の推進)

■告示3 基本診療料の施設基準等

保医発0305第2号 基本診療料の施設基準等及びその届け出に関する手続きの取り扱いについて

■診療点数早見表 2020年4月版

2.医師事務作業補助者の業務は?

医師事務作業補助加算では、医師の事務作業を補助する専従者(医師事務作業補助者)が配置されます。

この医師事務作業補助者はどんな仕事ができるのか、どんな人がなれるのかについてここでは紹介していきます。

2.1 医師事務作業補助者ができること

医師事務作業補助者は医師の指示のもと下記の業務ができます。

  • 診断書、医療文書の作成補助
  • 診療記録への代行入力
  • 医療の質の向上に資する事務作業(診療に関する データ整理、院内がん登録等の統計・調査、医師等の教育や研修・カンファレンスのための準備作業等)
  • 行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症サーベイランス事業に係る入力等)

 

具体的には

  • 診断書、診療録及び処方箋の作成
  • 主治医意見書の作成
  • 診療や検査の予約

といった業務が医師の指示のもと可能です。  

 

逆に、下記のような仕事はできません。

  • 診療報酬の請求業務
  • 窓口・受付業務
  • 医療機関の経営
  • 運営のためのデータ収集業務
  • 看護業務の補助並びに物品運搬業務

医師の業務補助がメインですので、そのほかの業務はできないということです。

2.2 医師事務作業補助者はだれがなれるか?

医師事務作業補助者はどんな人がなれるのか?

極論を言えば医師事務作業補助者はだれでもなることができます。

とくに資格等の要件はなく、研修をすれば医療事務の人でもなることができます。

研修は医師事務作業補助者を配置してから6か月間は研修期間として、この6か月のうちに32時間以上の研修をすることとなっています。

この研修をできれば医療事務の方から、医師や看護師の資格を有する人までこの医師事務作業補助者になることができます。

ただし注意したいのはこの医師事務作業補助者は専従で業務をすることになるので、医師事務作業補助者の仕事以外は基本的にできなくなります。

2.1でも書いたような医療事務で行う診療報酬の請求業務・窓口業務であったり、経営の仕事はできません。

また、医師や看護師の資格を有する人もこの仕事をできると言いましたが、医師事務作業補助者として配置された場合、医師や看護師の仕事はできません。  

2.3 医師事務作業補助者の研修

医師事務作業補助者には研修が必要であることを2.2章で紹介しました。

研修ではどのようなことを取り上げればいいのかと疑問に感じられる人が多いと思いますが、研修の内容としては

  • 医師法、医療法、医薬品。医療機器等の関する法律、健康保険法等の関連法規の概要
  • 個人情報の保護に関する事項
  • 当該医療機関で提供される一般的な医療内容及び各配置部門における医療内容や用語等
  • 診療録等の記載、管理及び代筆・代行入力
  • 電子カルテ(オーダリングシステムを含む)

このような内容を取り上げることが明記されています。  

参考文献

■診療点数早見表 2020年4月版

まとめ:医師事務作業補助体制加算のポイント

医師事務作業補助体制加算について取り上げました。

医師の業務の負担を軽減するためにある加算で、医療事務の人にとっても決して関係のない加算ではありません。

医師の事務補助を行う専従者を配置することがそもそも難しいという医療機関も多いと思いますが、医師の働き方改革が進んでいきますので医師の業務の負担軽減を評価してもらえるものとして抑えておきたい加算の一つです。

最後に繰り返しにはなりますが、全体を通してのポイントのまとめです。

ポイント
  • 医師事務作業補助体制加算は医師の仕事の負担を抑えるために、医師の仕事を一部担当する人を配置していることを評価したもの
  • 医師事務作業補助者は決められた内容の研修を実施することで担当できる

 

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