医療現場でよく使われる「重症度、医療・看護必要度」。
直接重症度、医療・看護必要度の評価に関わる人は詳しいかもしれませんが、医療事務やこの業界に入ってきたばかりの人には難しい項目になります。
また、診療報酬改定でたびたび項目の見直しやルールが変更されるので、現場で評価を行っている方でも改定時は注意が必要な項目です。
そんな重症度、医療・看護必要度について、こちらの内容を紹介していきます。
- 重症度、医療・看護必要度とは?
- 重症度、医療・看護必要度を知る上でのポイント
- 重症度、医療・看護必要度が関わる入院料
※この記事は2020年診療報酬改定をもとに作成しています。
※新型コロナウイルスの対応で評価に関して通知が出ているため、記事の通りではないものもございますのでご注意ください。
目次
重症度、医療・看護必要度とは?
まずは重症度、医療・看護必要度とはそもそもどんなものかについて紹介します。
また、なぜこの指標が重要視されているのかについても触れていきます。
重症度、医療・看護必要度とはなにか?
重症度、医療・看護必要度は2008年度の診療報酬改定で急性期の患者等の手厚い看護の必要性を測定するための指標として導入されたのがはじまりです。
当時は重症度・看護必要度と呼ばれ、2014年度の改定で今の重症度、医療・看護必要度という名称に変更になりました。
看護の必要性を測定ということで、簡単に言えばどの程度看護を提供しているか、また看護のかかり具合がこの病院ではどの程度あるのかを測定するのがこの指標です。
重症度、医療看護必要度ⅠとⅡ
2018年度の診療報酬改定で重症度、医療・看護必要度はⅠとⅡの二つに分けられました。
これまでの看護職員が直接評価していた重症度、医療・看護必要度はⅠになっています。
そこに評価の業務量削減やより正確なデータを取得するために、診療実績データから評価を行う重症度、医療・看護必要度Ⅱが新設されました。
重症度、医療・看護必要度Ⅱでは評価項目であるA・C項目をDPCデータを用いて評価を行います。
重症度、医療・看護必要度のⅠとⅡについて詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。
重症度、医療看護必要度の重要性
この重症度、医療・看護必要度がなぜよく話題に上がるのか?
大きな理由としては入院料の算定に要件として必要になってくることが挙げられます。
例えば急性期一般入院料では算定の基準の中に重症度、医療・看護必要度の評価で評価基準を何%以上を満たす患者がいることというのが条件になっています。
急性期医療を提供していて、多くの難しい治療を行っている場合はそれだけ看護の提供量は大きくなります。
そういった病院は高い入院料が算定できるといった仕組みになっています。
もちろんこの重症度、医療・看護必要度だけで入院料が決まるわけではありませんが、基準の一つとして設けられているため、多くの医療機関ではこの重症度、医療・看護必要度は重要視されています。
また、現状の日本の医療や患者の状態像などの分析にも集めたデータは分析にもよく使用されます。
診療報酬改定前ではこの重症度、医療・看護必要度のデータをもとに分析され、改定の内容を決めている項目もあるので、分析の分野でかなり重要度が高い項目になっています。
さらにこの測定した重症度、医療・看護必要度は病床機能報告の報告内容にも含まれています。
病床機能報告制度は地域における医療や介護の確保のために病床機能の在り方を検討するもので病院・病棟の様々なデータを集めています。
その中にもこの重症度、医療看護必要度が含まれていることから重要な指標と言えます。
重症度、医療・看護必要度が関わる入院料
前章で入院料の算定に必要ということを紹介しました。
そこで重症度、医療・看護必要度がかかわる入院料はどんなものがあるかについてここでは紹介していきます。
重症度、医療・看護必要度での評価が必要な入院料
重症度、医療・看護必要度の評価が必要な入院料・加算には下記があります。
- 一般病棟入院基本料
- 専門病院入院基本料
- 専門病院入院基本料の看護必要度加算
- 専門病院入院基本料の一般病床看護必要度評価加算
- 特定機能病院入院基本料
- 特定機能病院入院基本料の看護必要度加算
- 結核病床入院基本料(7:1)
- 急性期看護補助体制加算
- 看護職員夜間配置加算
- 看護補助加算(1)
- 総合入院体制加算(1,2,3)
- 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
- 地域包括ケア病棟入院料
- 特定一般病床入院料(注7該当)
- 特定一般病床入院料の一般病棟看護必要度評価加算
- 救命救急入院料
- 特定集中治療室管理料
- ハイケアユニット入院医療管理料
かなり多くの種類があります(漏れ等ありましたら申し訳ございません)。
評価の種類
前章で評価が必要な入院料・加算を紹介させていただきました。
それぞれ評価が必要ですが、この評価にも大きく2種類あります。
- 評価を日々行っていることが要件になっているもの
- 評価した結果、一定以上の基準を超えていることが要件になっているもの
基準に関しては入院料や加算ごとに異なり、さらに同じ入院料のなかでも細かい分類の中でさらに基準がわかれていたり、日々の評価のみでいいというものもあります。
算定する入院料・加算がどちらに該当するか、基準はどれくらいなのかを算定前に事前にしっかり確認しておきたいポイントです。
重症度、医療・看護必要度の評価で気をつけたい2つのポイント
重症度、医療・看護必要度は評価指標ということで具体的にどんな評価をしていくのか、だれが評価をするのかについて、ここでは触れていきたいと思います。
重症度、医療看護必要度の評価表の種類
重症度、医療・看護必要度の評価表には一般病棟用、特定集中治療室用、ハイケアユニット用の3種類があります。
基本的によく使用するのは一般病棟用の評価表です。
今回は一般病棟用の評価表を参考に掲載します。
A,B,Cそれぞれの項目で評価を行い、各入院料ごとの基準を満たすかどうかを判定します。
それを病院・病棟単位で算定して入院料で必要な基準を満たしているかを確認します。
入院料や加算ごとにどの評価表を使うか、また同じ評価表でも評価不要の項目もあるので、どの評価表のどの項目を評価するかを施設基準で確認したいのがここのポイントになります。
評価票について詳しく知りたい方は、こちらの記事で内容をまとめています。
重症度、医療看護必要度の評価者はだれか?
この入院患者に対する評価はだれが行えるのか?だれでも行っていいのか?そんな疑問がでてくると思います。
看護提供量を評価するものですので、基本は看護師(看護職員)が評価を行います。
内容に詳しいからと言って医療事務の方ができるわけではないので注意しましょう。
また、単に看護師であっても評価はできず、院内研修を受けたものが評価者として評価することができます。
院内研修は所定の研修または評価に習熟したものが行う研修のことさします。
院内で研修ができない場合は、国や医療機関団体等も研修を行っているので、調べてみてそちらに参加してみてください。
評価に関しては、基本は看護師(看護職員)になりますが、項目によっては医師をはじめとした医療従事者でも行うことができます。
どの項目で評価できるかは評価表の手引きに記載されているので確認してみてください。
この医師や医療従事者も看護師同様、院内研修は受ける必要があるので評価者になる場合には研修を忘れずに受講しましょう。
まとめ:重症度、医療看護必要度でおさえておきたいポイント
重症度、医療・看護必要度について紹介してきました。
直接評価を行っている方については、よく知った内容かもしれませんが、医療事務など直接評価に関わらない人にとっては難しい内容だったかもしれません。
しかしながら評価を行わない方でも医療の分析等で使用されていたりするので、少しでも内容を覚えていただければ幸いです。
最後にまとめになります。
- 重症度、医療・看護必要度は急性期の患者等の手厚い看護の必要性を測定するための指標
- 重症度、医療・看護必要度は看護師が評価するⅠと診療実績データを用いるⅡがある
- 入院料の算定に要件や医療・看護の分析で使用されるため重要な指標
- 評価表には一般病棟用、特定集中治療室用、ハイケアユニット用の3種類がある
参考資料
■告示3 基本診療料の施設基準等
保医発0305第2号 基本診療料の施設基準等及びその届け出に関する手続きの取り扱いについて
■平成30年度診療報酬改定
■診療点数早見表