2020年度診療報酬改定により「DPC導入の影響評価に係る調査」も内容がいろいろと変わりました。
特にHファイルの変更点は複雑で作成に苦労されている方も多いのではないでしょうか。
私もシステム対応にあたって、変更内容を理解するのに非常に時間がかかりました。
そこで2020年度のHファイルの作り方について、ポイントをいくつか紹介していきたいと思います。
- 重症度、医療・看護必要度の変更点は?
- 重症度、医療・看護必要度とHファイルの入力項目の違いは?
- Hファイルを作成するうえでの注意したいこと
Hファイルとはそもそもどういうものかについて知りたい方はこちらに解説をまとめています。
https://medical-information-room.com/dpc_research_hfile/
目次
1. なぜ2020年度のHファイルを作るのは難しいのか
2020年度のHファイルを作るのは、そもそもなぜ難しいのか?
それは下記の2つが要因になっていると思われます。
- 重症度、医療・看護必要度の入力項目とHファイルの入力項目が異なる
- 入院料によっては2019年度の様式でも提出することができる
まず1点目ですが、今までは重症度、医療・看護必要度とHファイルの入力項目はほとんど同じでした。
違いがあるとすれば重症度、医療・看護必要度Ⅱのとき、A項目、C項目はHファイルでは入力不要という点でしょうか。
今回も考え方は同じですが、評価票の一部分が入力項目から削除されています。
そのためデータの作り方を悩まれている方も多いのではないでしょうか。
2点目は重症度、医療・看護必要度の経過措置に基づいた対応と思われます。
経過措置でこれまでの評価票で評価してもいいということになっているので、それに基づいてHファイルも2019年度の評価票と同じ形式で提出してもいいという形になっているみたいです。
それぞれこの後の章で詳しく見ていきたいと思います。
2. 2020年度の重症度、医療・看護必要度のポイント
Hファイルの作成するにあたって、おさえておきたい重症度、医療・看護必要度のポイントを紹介します。
ここで紹介するポイントはこちらになります。
- レセプト電算コードを用いた評価
- 経過措置
こちら以外にも重症度、医療・看護必要度の変更点を知りたい方はこちらをご覧ください。
https://medical-information-room.com/barometer_barometer_nursing_2020/
2.1 レセプト電算コードを用いた評価
2018年度で追加になった重症度、医療・看護必要度ⅡはA項目とC項目をレセプト電算コードから評価する仕組みが追加になり、従来の看護師等での評価は不要となりました。
2020年度の改定ではこの仕組みと同様、重症度、医療看護必要度Ⅰでも一部の項目でレセプト電算コードから評価することになりました。
その項目がA項目の専門的な治療・処置(①~④、⑥~⑨)とC項目のすべての項目が対象となりました。
これらの項目は重症度、医療・看護必要度Ⅰであっても看護師等の評価ではなく、レセプト電算コードで評価する形となりました。
2.2 経過措置
入院料によって経過措置が設けられていて、2020年9月30日または2021年3月31日まで改定前の評価票で評価してもよいということになっています。
すべての入院料が対象ではないので、経過措置が設けられている入院料は厚労省のサイト等から確認してみてください。
医療機関内での評価票の切替は簡単にできるわけではないので、経過措置を適用しつつ切り替えるところが少なくありません。
参考文献
■診療点数早見表 2020年4月版
■令和2年度診療報酬改定の概要
3. Hファイルを作成するうえでのポイント
Hファイル作成するうえで、理解して起きたいポイントを紹介していきます。
3.1 重症度、医療・看護必要度とHファイルの違いを理解しよう
2019年度までは重症度、医療・看護必要度とHファイルの入力項目はほぼ同じでした。
違いがあるとすると、重症度、医療・看護必要度ⅡのときHファイルでは各項目が入力不要という形です。
重症度、医療・看護必要度Ⅱも各項目で看護師等の評価は不要になりましたが、評価項目そのものがなくなったわけではなく、レセプト電算コードベースで評価するという形に変わっただけです。
そのためレセプト電算コードで評価はしなくてはいけません。
一方でHファイルは入力項目としてA項目とC項目の入力がそもそも不要です。
レセプト電算コードで評価した内容をわざわざ入力するといったこともありませんでした。
この考えは2020年度の評価でも同様です。
重症度、医療・看護必要度Ⅰでレセプト電算コードで評価することになった項目はHファイルの入力項目からなくなりました。
分析はEFファイルからレセプト電算コードでできることから、重症度、医療・看護必要度Ⅱ同様、項目がなくなったものだと思われます。
そのため、項目の専門的な治療・処置は⑤⑩⑪のみが入力項目で、C項目に関しては入力項目としてありません。
誤ってこれまでの評価票と同じようにデータを作成しないように注意しましょう。
3.2 出力するペイロードを理解しよう
重症度、医療・看護必要度の経過措置に基づいてHファイルも2019年度の様式と2020年度の様式どちらでも提出できるとのことです。
このとき評価票によってペイロードが違いがありますし、入力項目も異なるので注意しましょう。
例えば急性期一般入院料4で2020年度の評価票で評価する場合は、
- A項目はASS0011
- B項目はASS0021
でデータを作成します。
もし2019年度の評価票を用いる場合は
- A項目はASS0010
- B項目はASS0020
- C項目はASS0030
でデータを作成します。
特定集中治療室用の評価票やハイケアユニット用の評価票も考え方は同様です。
ペイロードの組み合わせ方を間違えないようにしましょう。
3.3 Hファイルを作成するうえでの注意すること
これまでの章を踏まえてHファイルを作成するうえでの注意点を紹介していきます。
まず手作業でHファイルを作成している方は、3.2章で紹介したように2019、2020年度どちらの評価票でデータを作成するか確認し、入力項目を正しく入力しましょう。
2020年度の評価票にも関わらず、C項目を入力しているとおそらくデータ作成誤りになるのではないでしょうか。
システムで作成している方は、システム次第になります。
重症度、医療・看護必要度を入力し、それをベースにHファイルを出力しているシステムは自動でデータを作ってくれるはずです(※システムの構成によります)。
Hファイルのための入力システムであれば、どの項目を入力していいかは評価票に応じて確認しましょう。
システムであれば、入力サポートの機能がついていたりするかもしませんが、なぜこのような入力になるかはあらかじめ理解しておきましょう。
■診療点数早見表 2020年4月版
■DPC導入の影響評価に係る調査
まとめ:2020年度のHファイルの作り方のポイント
2020年度のHファイルについて、作り方のポイントを紹介しました。
重症度、医療・看護必要度の評価項目の変更だけでなく、レセプト電算コードでの評価や経過措置によってHファイルの考え方が複雑になっています。
一度に理解しようとすると、整理できずに苦労することになるので、一つずつ着実に理解していきましょう。
最後にこの記事のまとめとなります。
- 重症度、医療・看護必要度の変更点でレセプト電算コードで評価する項目と経過措置を理解しよう
- 重症度、医療・看護必要度でレセプト電算コードで評価する項目はHファイルでは入力不要
- 2020年度の調査では入院料によって2019年度の評価票に基づいてHファイルを作成することができる