情報分野では有名な情報処理技術者試験。
医療情報分野で働く人や医療機関でシステム保守を担当している人は気になっている方も多いのではないでしょうか。
そんな情報処理技術者試験ですが、どんな資格なのか?
試験には様々な種類がどれを受ければいいのか?と疑問を持たれている方も多いと思います。
そこでこんな疑問に対して、情報処理技術者の資格を保持する著者が情報処理技術者試験を受験するにあたってのポイントを紹介していきます。
目次
1.情報処理技術者試験の概要
情報処理技術者試験のホームページから内容をまとめています。
参考:IPA 情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験
ここでは「情報処理技術者試験とはどんな資格か?」から、「試験の分類」、受験するうえで気になる「受験料」や「合格基準」について紹介します。
1.1 情報処理技術者試験とは
情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。
情報システムを構築・運用する「技術者」から情報システムを利用する「エンドユーザ(利用者)」まで、ITに関係するすべての人に活用いただける試験として実施しています。
特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に評価しています。
試験の目的は
- 情報処理技術者に目標を示し、刺激を与えることによって、その技術の向上に資すること。
- 情報処理技術者として備えるべき能力についての水準を示すことにより、学校教育、職業教育、企業内教育等における教育の水準の確保に資すること。
- 情報技術を利用する企業、官庁などが情報処理技術者の採用を行う際に役立つよう客観的な評価の尺度を提供し、これを通じて情報処理技術者の社会的地位の確立を図ること。
と3点設定されています。
1.2 認定機関
情報処理技術者試験は経済産業省所管の情報処理推進機構のもとで実施されています。
試験は国家資格になるため、合格すると経済産業大臣の名前で認定証が発行されます。
1.3 試験の分類
試験は時代にあわせて形態が変わっています。
現在の試験は平成29年度の春からの形で、下記のような形になっています。
試験は難易度で大きく3つに分けられると考えています。
- ICTを利活用する人向け(入門)
- ICTの基本的な知識技能を習得(難易度:中)
- 高度な知識・技能(難しい)
①に相当するのが「ITパスポート」「情報セキュリティマネジメント」
②に相当するのが「基本情報技術者」「応用情報技術者」
③に相当するのが「プロジェクトマネージャー試験」や「情報処理安全確保支援士試験」といった高度情報処理技術者といわれる試験群です。
どの試験を受ければいいかについては後ほど紹介します。
1.4 受験日
試験日程は大きく二つに分かれていてITパスポート以外の試験は4月と10月の第3日曜に実施されます。
一方でITパスポート試験はCBT方式の試験で、毎月数回実施されているので、随時受験することができます。
1.5 受験料
受験料は5400円になります。
他の試験に比べれば国家試験でこの値段はお手頃ではないでしょうか。
1.6 合格基準
試験の合格基準は6割になります。
試験によっては複数科目ありますが、すべての科目で6割をとることが合格ラインとなります。
2.どの試験を受ければいいか?
1.3章でも紹介しましたが情報処理技術者試験は数多くの試験があります。
その中でどの試験から受けていけばいいか悩む方も多いのではないでしょうか?
そこで受験者のレベルにあわせてどこの試験を受ければいいかを紹介していきます。
1.3章で試験を大きく3つに分類しました。
- ICTを利活用する人向け(入門)
- ICTの基本的な知識技能を習得(難易度:中)
- 高度な知識・技能(難しい)
この3つそれぞれについて難易度ごとにどこから挑戦していけばいいかを紹介していきます。
2.1 ICTを利活用する人向け(入門)
まず情報分野に詳しくない方のスタートは①になります。
例えば医療事務の仕事をしていて、システムの管理もあわせて行っていて、情報分野の知識を学びたい方や情報分野をこれから学んでステップアップしていきたい方になります。
また、ここ最近では情報分野の知識は必須の知識となっています。
そのため、社会人の必須知識としてもITパスポートや情報セキュリティマネジメントといった試験のレベルは取得していきたいところです。
入門とは言いますが、少し勉強して合格できるようなレベルではないので挑戦する方は計画的に勉強していきましょう。
2.2 ICTの基本的な知識技能を習得(難易度:中)
情報分野を勉強中の方は②がおすすめです。
おおむね勉強や仕事をはじめて1年も経てば知識の整理もかねて挑戦してもいいのではないでしょうか。
基本情報技術者、応用情報技術者どちらも情報分野の知識が幅広く求められてきます。
とくに応用情報技術者から記述式のテストも入ってくるので、自信がない方は基本情報技術者から受験してみてください。
2.3 高度な知識・技能(難易度:高)
情報分野のエキスパートを目指す方は③を挑戦してみてください。
基本情報技術者、応用情報技術者は情報分野の幅広い知識が求められましたが、それに加えて各分野の高度な技術が求められます。
例えばデータベーススペシャリストであれば、データベースの高度な技術・知識が求められますし、ネットワークスペシャリストであればネットワークに関する深い知識が求められます。
なかなか大学や専門学校の講義だけでまかなうのは難しく、仕事で学んだことや最新の技術などを学んで合格できるレベルです。
3.勉強方法
情報処理技術者試験合格にむけて、勉強法が気になる方は多いと思います。
私の勉強法としては、
- 勉強しはじめは教科書的なものを読む・学ぶ
- 教科書の内容を覚えたら、例題を解く
- 過去問を何度も解く
この3ステップで受験してきました。
私は情報系を専門としてきたので、教科書的な本で知識の整理や知識不足不足なところを勉強しました。
その後、本についている例題を解き、試験が近づいてきたら過去問を繰り返し行いました。
情報処理技術者は過去に出題された問題と類似の問題もそれなりに出るので過去問の勉強は効果があります。
情報系出身の方は過去問だけでも問題ない方もいらっしゃいますが、それ以外の方は出団範囲も広く様々な形態の問題に対応するためにも、体系的にまとめられた本を読んでから受験することをおすすめします。
私が使っていた問題集を参考までご紹介します。
基本情報技術者を参考に掲載していますが、このシリーズは各試験それぞれで出版されていますので、受験する試験の参考書を選ぶことができます。
内容としては情報分野の教科書的なテキストになっているので、出題される内容をしっかり学ぶことができます。
過去問は公式サイトにアップされているので、過去問を解いてわからないところがあればこの本を読んで解説を見るという使い方をしていました。
個人的には毎回各試験を受験するときに非常に重宝している本ですが、分厚いのが難点です。
4.受験して感じたこと
学生の頃から情報処理技術者試験を受験して、今もいくつかの試験に挑戦しているので試験を受けていて感じたことを書きます。
- 受験会場は以外と多い
- 過去問が大事
- 問題は持ち帰れる
- 試験は途中退室可能
- 過去問は公式サイトにアップされているので勉強しやすい
- 出題範囲が広いので得意な分野で確実に点を取る
みなさんの受験の参考になれば幸いです。
5.まとめ:情報処理技術者試験
情報処理技術者試験の資格について紹介しました。
簡単なレベルの試験から、専門知識が求められる高度な試験まで受けられるので、自分のレベルにあわせた受験が可能です。
情報系の方はステップのアップのために、それ以外の方は社会で必須のICTの知識を習得するために受験してはいかがでしょうか。
医療情報分野の資格は情報処理技術者試験以外にもどんなものがあるのかについて、こちらの記事で紹介していますので気になるはどうぞ。