2018年の診療報酬改定で新しく追加になった「オンライン診療料」。
医療分野だけでなく、情報分野の方も気になる内容です。
ただ、このオンライン診療は具体的にどういうときに、どういう患者に算定できるのか?
そんな疑問をお持ちの方は多いのではないのでしょうか。 そこでこの記事ではこちらの内容を紹介していきます。
- オンライン診療料とは?
- オンライン診療料算定のポイント
※この記事は2018年診療報酬改定及び2019年時点の制度をもとに作成しています。
目次
1.オンライン診療料
まずはオンライン診療とはどういうものかについてここでは下記の3つのポイントを紹介していきます。
- オンライン診療料とは?
- オンライン診療料の点数
- オンライン診療料に関わる資料
1.1 オンライン診療料とは?
オンライン診療料は対面診療の原則のもとで対面診療とリアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な情報通信機器を活用した診察(以下、オンライン診察)を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいた計画的なオンライン診察を行った場合に算定できます。
ここでポイントとなるのは
- ビデオ通話で診察を行うこと
- 対面診療が原則であること
の2点です。
対面診療の補助という形にはなりますが、ビデオ通話を用いて遠隔で診察ができるので、患者さんの通院負担軽減や医師の訪問医療の軽減など多くのメリットがあります。
1.2 オンライン診療料の点数
オンライン診療料は下記の点数が設定されています。
再診と同じ分類で、一概には比較できませんが、再診料(73点)、外来診療料(74点)と近い点数が設定されています。
算定については後述しますが、当該管理にを初診から6か月以上が経過している条件のもとで1月1回算定できます。
ただし3か月連続は算定不可です。
1.3 オンライン診療料に関わる資料
追加されたばかりの項目ということで、具体的にどういう診療をすればいいか、どういう診療計画をたてればいいか多くの疑問を持たれている方が多いと思います。
そういった状況に対して、点数表だけでは不明瞭な部分も多いため、指針やQ&Aなどが発行されています。
疑義解釈も随時更新されているので、指針と合わせて確認してみてください。
参考文献
■診療点数早見表 2019年4月増強版
診療点数早見表 2019年4月増補版: [医科]2019年4月現在の診療報酬点数表 (2019年4月増補版)
■オンライン診療の適切な実施に関する指針
2.オンライン診療料算定にあたってのポイント
この章ではオンライン診療料を算定するためのポイントを紹介します。
算定に当たってとくに気を付けておきたいのは「ビデオ通話ができる機器を準備する」「算定可能な患者には限りがある」の2点です。
2.1 ビデオ通話ができる機器を準備する
オンライン診療にはビデオ通話で行います。
そのためにはビデオ通話をする機器ということで、リアルタイムでコミュニケーション可能な情報通信機器が必要です。
ポイントは「リアルタイム」「診察する」ということで、患者の状態が確認できるようなビデオ通話機器を用意する必要があるということです。
現場での運用はそれぞれだと思いますが、低スペックの機器や通信遅延が起こりやすい回線ではなかなか厳しいのではないでしょうか。
また、この用意するシステムについてはそれなりのものを準備する必要があり、場合によっては患者に貸与することもあるかもしれません。
その場合は社会通念上、妥当適切額を徴収することは認められています(疑義解釈)。
さいごに、チャットでのオンライン診察はできますかという疑問がよくあがるみたいですが、チャットでは患者の状態が得られないため、許可されていません。
2.2 算定可能な患者
このオンライン診療はどんな患者でも算定できるわけではありません。
原則初診はだめですし、再診も6か月以上経過して、毎月対面診療している条件があります。
さらに下記の管理を算定している患者になっています。
- B000 特定疾患療養管理料
- B001 「5」小児科療養指導料
- B001 「6」てんかん指導料
- B001 「7」難病外来指導管理料
- B001 「27」糖尿病透析予防指導管理料
- B001-2-9 地域包括診療料
- B001-2-10 認知症地域包括診療料
- B001-3 生活習慣病管理料
- C002 在宅時医学総合管理料
- I016 精神科在宅患者支援管理料
こちらに示したようにどんな患者さんでも算定できるわけではなく、比較的様態が安定している患者さんに対しての診察でオンライン診療が利用できます。
2.3 その他の大切なポイント
上記で「ビデオ通話」「算定できる患者」とポイントを紹介してきましたが、他にもいくつかオンライン診療にはポイントがあります。
それを簡単に箇条書きで紹介します。
- 対面診療とオンライン診療を同時に行った月はオンライン診療は算定不可
- 対面診療とオンライン診療を組み合わせた療養計画を作成すること
- 計画に基づかない他の傷病に対して、オンライン診療料は算定不可
- 対面診療とオンライン診療は同一の医師が行うこと
他にも大切なポイントは多くあるので、算定する際は施設基準をしっかりと確認しましょう。
■診療点数早見表 2019年4月増強版
診療点数早見表 2019年4月増補版: [医科]2019年4月現在の診療報酬点数表 (2019年4月増補版)
■オンライン診療の適切な実施に関する指針
まとめ:オンライン診療料のポイント
オンライン診療料とは?から算定のポイントについて紹介しました。
対面診療の補助という扱いではありますが、診療の幅を大きく広げていくものだと思っています。
医療分野・情報分野双方から着目していきたい項目になります。
それでは最後にまとめになります。
- オンライン診療料は対面診療原則の下でビデオ通話で診察を行うこと
- ビデオ通話ができる機器を準備する必要がある
- 算定は期間や該当管理を継続して算定しているなどの条件がある